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感染創薬講座開設について
感染創薬とは、感染と創薬を合わせた造語になります。
私共の感染制御研究センターでは、耐性菌の疫学や耐性機序の解明などを行うと同時に、2017年にAMED CiCLEに採択された「薬剤耐性(AMR)菌感染症治療薬を目的とした創薬研究」を大日本住友製薬(株)さんと一緒に展開しています。10年間で薬剤耐性菌に有効な抗菌薬を開発する予定です。
さらに、2020年のAMED 新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業に「大村天然化合物エバーメクチンを基盤とした COVID-19 治療薬の創製」が採択され、エバーメクチン誘導体を用いた新型コロナウイルスを含むコロナウイルスに有効な抗ウイルス薬の創薬を行っています。コロナウイルスは5年から10年おきに新しいウイルスを作り出してきます。SARS,MERS,SARS-CoV-2ときており、次の新型も必ず出現すると思われます。
また、興和(株)さんと共に、芽胞形成の嫌気性菌に対する薬の開発も行っています。
もちろん、私どものセンターのみで行える研究ではなく、大村智記念研究所の多くのメンバーと共に、企業の沢山の研究者も参加して創薬を行っています。
このような状況下で「感染創薬学講座」を開設する事になりました。感染創薬学講座では、感染症の創薬について学ぶことが出来ます。私共の創薬学は合成と活性(構造活性相関)のみで終わる学問ではありません。創薬に向けた実学を行うべく、in vivo実験、構造-活性-毒性相関から、物性に起因する溶解度と毒性や、体内動態、製剤、化合物の安定性など、創薬に必要な知識を私共からも製薬企業のメンバーからも学ぶことが出来ます。
私共は感染症の創薬に特化していますが、活性以外の創薬に関する知識は共通しています。これらの知識を幅広く得ることができれば、薬を作るという全体の過程を捉えることができます。製薬メーカーさんでも創薬を俯瞰的に捉える事は難しく、その歯車の一つして動くので、実際はどの段階の研究を行っているか、それがどれほど重要な研究なのか分からないまま過ごすことになってしまいます。
しかし、私共の感染創薬学講座では創薬全体の流れを掴むことができ、自分の研究の重要性を理解しながら創薬に臨むことが出来ます。
ぜひ、一度、私共の研究室に遊びに来てください。お待ちしております。
花木秀明